ボデー修理書の読み方
NISSAN 日産自動車 修理書の読み方
  • 日産自動車の溶接施工については、日産自動車発行の「車体修理要領書」に記載されている溶接方法の準拠が最優先です。
    「車体修理要領書」の入手方法は、部品商様(日産部品様等)に依頼すれば簡単に入手できます。

    価格は5千円~1万円程度です。
    新車発売開始から2~3か月後に流通が開始されます。

    注意:以下に示すマニュアルについては、あくまで日産自動車様の車体修理要領書を読み解くうえでの要点をまとめたものです。
    実際の溶接施工ではそれぞれの車種について車体修理要領書を入手いただき、それに沿った溶接施工を行ってください。
  • 日産自動車様は以下の車種において溶接条件の設定が要領書の中で示されています。

    スカイライン / エクストレイル / セレナ / リーフ / デイズ
    (全て現行)
スポット溶接の注意
・本条件を満たせない場合は、プラグ溶接にて対応。
・引っ張り強度980MPaを超える超ハイテン材の溶接条件には対応しないため、プラグ溶接にて対応すること。
・本条件は本車両(スカイラインV37型系車)のみの適用の為、他の車両の溶接条件に適応しないこと。
プラグ溶接(抜粋)
・溶接穴径が確保できない場合は、同等の面積となるように、小さな径の穴を複数開け、プラグ溶接をすること。



日産自動車の溶接条件はご覧の様になります。一例としてスカイライン(型式:V37)です。
日産自動車では引っ張り強度980MPaを超える超高張力鋼板のスポット溶接は認められていません。

現在、980MPaのみにスポット溶接条件の指定が出ています。車種によって若干違いますが、溶接電流は8,000A前後が指定です。
溶接電流は低めな値になりますが、加圧力は3,000Nを超える高い加圧力の数値になっています。

プラグ溶接に関しては、指定溶接ワイヤがありません。
ただ、シールドガスは混合ガスが指定となっており、他社と同じワイヤとしてYGW-16を使用するのが望ましいでしょう。結果、溶接欠陥を防ぐことができます。

また、プラグ径にも特徴があります。 最近の自動車部位のフランジ寸法があまり無いため、プラグ径が足りない事があります。
日産自動車ではプラグ径が確保できない場合、指定プラグ径と同等の面積となるように、小さな径を複数開け、プラグ溶接を行う事が認められています。

一例としてご説明します。



指定プラグ穴径がφ11㎜とします。実際のフランジ幅が11㎜もない為、穴径がはみ出てしまいます。
その場合、直径φ11㎜と同等の面積(約95㎟)になるよう、一例としては直径φ8㎜(約50㎟)を並列にプラグ穴を開け、溶接する事で溶接強度を同等にするという手法です。
この方法は日産自動車の980MPa部位のみに認められている方法となります。